[No.560-2]季節を先取り
No.560-2
「まだ、誰もこんなファッションしてないでしょ?」
“あえてしてないの!”と、突っ込みたくなる気持ちを抑えた。
「そうね」
「やっぱり、季節を先取りしなきゃね!」
(だから、ついさっきも聞いたって・・・)
「はいはい・・・これからも季節を・・・ん?」
「・・・どうかしたの?」
彼女よりも、季節を先取りしている人に気付いた。
「私よりも先に・・・?」
「どう見ても、こんな格好している人、居ないでしょ?」
確かに居ない・・・何度も言えば“あえて”いない。
「確かにあなたより、前だったわよ」
「ど、どこによ!」
本当は人じゃない。
「そこよ、そこ!」
友人の肩に、とまっている赤とんぼを指差した。
まるで、“私の方が先だったわよ!”と主張しているかのようだった。
(No.560完)
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