« [No.560-1]季節を先取り | トップページ | [No.561-1]痕跡 »

[No.560-2]季節を先取り

No.560-2

「まだ、誰もこんなファッションしてないでしょ?」

“あえてしてないの!”と、突っ込みたくなる気持ちを抑えた。

「そうね」
「やっぱり、季節を先取りしなきゃね!」

(だから、ついさっきも聞いたって・・・)

「はいはい・・・これからも季節を・・・ん?」
「・・・どうかしたの?」

彼女よりも、季節を先取りしている人に気付いた。

「私よりも先に・・・?」
「どう見ても、こんな格好している人、居ないでしょ?」

確かに居ない・・・何度も言えば“あえて”いない。

「確かにあなたより、前だったわよ」
「ど、どこによ!」

本当は人じゃない。

「そこよ、そこ!」

友人の肩に、とまっている赤とんぼを指差した。
まるで、“私の方が先だったわよ!”と主張しているかのようだった。
S560
(No.560完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.560-1]季節を先取り | トップページ | [No.561-1]痕跡 »

(023)小説No.551~575」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.560-2]季節を先取り:

« [No.560-1]季節を先取り | トップページ | [No.561-1]痕跡 »