[No.553-2]森のにおい
No.553-2
「まぁ、その気になったら、確かに」
なにか他の匂いに例えたくとも、代わりを思い付かない。
ただ、街中で吸う空気とは明らかに違う。
「木だけじゃなくて、“森”全体の匂いだと思うんだ」
だからこそ複雑で、代わりが見つからない。
「川や動物までも含めて?」
「そうだね、森が呼吸している匂いかもしれない」
「粋なこと言うわね」
なにもないパーキングエリアでしばし、匂い談義が始まった。
気付けば、周辺に居る人たちも、大きく深呼吸している。
「あなたのいうこと、まんざらでもなさそうね」
皆、なにか充実したような顔で車に戻っている。
「だろ?僕も十分、リフレッシュできたよ」
「じゃ、あと2時間、運転ヨロシクね!」
家に到着するには、まだまだ時間が掛かる。
「次のパーキングでご飯でも食べてく?」
幸い、次の休憩場所では、食事もとれる。
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