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[No.553-1]森のにおい

No.553-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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休憩のために、高速道路のパーキングエリアに立ち寄った。

「・・・あれ?」
「どうしたの・・・何かみつけでもしたの?」

パーキングエリアと言っても、悪い意味でその通りの場所だ。
トイレに加えて、辛うじて自動販売機が1台置いてある。

「いや、そうじゃなくて」

なにか見つけるのが難しいくらい何もない。

「ほら・・・匂わないか?」
「別に美味しそうな匂いはしないけど・・・」

するはずもない、こんな場所だから。
でも、ある意味そうとも言えない。

「森の匂いが」

少し湿った感があるが、単に湿気ているわけではない。
なんともみずみずしい清涼感がある。

「これって、森の匂いなの?」

かつて祖父母は山の中腹あたりに住んでいた。
そこの場所と同じ匂いがする。

「どうかは分からないけど、自分はそう思っている」

いつしか、この匂いを森の匂いと決め付けていた。

(No.553-2へ続く)

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