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[No.552-2]最初の一日

No.552-2

(さて・・・聞くべきなんだろうか)

さすがに5年も通えば、常連と自負してもいいだろう。
けど、プライベートまで踏み込むには勇気が必要だ。
特に相手が女性ともなれば・・・。

「これから、どうされるんですか?」

自分でも驚くほど気が利いた質問だった。
ある意味、どうとでもとれる。

「そんなんじゃありませんよ」

彼女がクスッと笑いながら、答えてくれた。

「いや、その・・・違うんです!」

抽象的な会話をしてるはずなのに、考えていることは同じだ。
今度はふたりしてクスッと笑った。

「でも、寂しくなりますね」

会話こそなかったが、見えない糸で繋がっていたような気がする。

「寂しい?・・・私はそうは思わないけど」
「・・・え、えぇっ!?」

決めセリフのつもりが、とんだピエロになってしまった。
現実は、そうドラマのようには行かない。

「だって、ここの店が最後なだけであって」
S552
(No.552完)
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