[No.548-1]財布を忘れた !
No.548-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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「さっきから、なにニヤニヤしてるのよ?」
「そ、そうかな・・・」
(まずい・・・)
自分としては微笑んでいるつもりだった。
でも、他人にはそう見えるようだ。
「また、とびきりの美人でも見掛けたわけ?」
「それは以前の話だろ・・・」
まだ、根に持っているところがこわい。
「じゃあ、なによ?」
「ここに来る前にな・・・」
最寄駅の券売機で切符を買っている時だった。
ひとりの女性が、となりの券売機に並んだ。
「・・・で、その人が美人?・・・それとも可愛かった?」
「じゃなくて!」
状況的に、財布を取り出そうとしていたと思う。
カバンの中をゴソゴソし始めた。
「そしたら、一言こんなことを言ったんだ」
「“財布忘れた!”」
その言い方がなんとも可愛く聞こえた。
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