[No.546-2]やるじゃん!
No.546-2
(・・・後、15分くらいで終わるかな)
終了時刻の読みは慣れている。
それに合わせて会場に戻ってくるのはお手の物だ。
「・・・ん?」
入口近くの柱の陰に人影が見える。
それに、どうやら曲にあわせて動いているようだ。
防音に優れているからといっても、そこそこ音楽は聞こえている。
(・・・チケット、取れなかったんだろうな)
風貌からも、チケット代をケチッたようには到底見えない。
誰よりもそのアーティストのファンであることが伝わってくる。
「アーティスト冥利に尽きるよな」
もし、自分がアーティストなら・・・。
それでも会場に足を運んでくれたファンのことを大切に思いたい。
そんな気持ちにさせられた。
「あ・・・そろそろかな」
アンコールも終わり、どうやら“締め”に入ったようだ。
帰りにあわせてドアが開けられたことで、より鮮明に聞こえてくる。
1階席、2階席・・・順番にお礼を言っているようだった。
“そして最後に・・・会場の外、ありがとう!!”
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