[No.543-1]彼の家
No.543-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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(あれ・・・おかしいな)
ひょんなきっかけから、元カレの家を探し始めた。
ただ、探すと言っても地図上の話だ。
「確か、ここから見えていたんだけど」
最寄り駅に付く直前に、窓から彼の家が見える。
その方向になるように、地図を操作する。
遠い記憶では、茶色の家だった記憶がある。
「それなら、駅から道を辿っていけば?」
「それができたら苦労しないわよ」
昨日、探し出せなかったことを友人に話した。
「もしかして・・・」
「そう、そのもしかして」
彼の家は知ってはいたが、行ったことはなかった。
その理由は色々あった。
「唯一、電車の窓から見える家しか知らないの」
当時、あえて家を探したりはしなかった。
「どうしても、見つからないのよね・・・」
便利な世の中だ。
現地と同じ景色を家に居ながら、見ることができる。
だからこそ、それらしい家が見つからない。
「そりゃね、あれから・・・年もたってるんでしょ?」
「・・・うん」
単に引っ越ししただけなのかもしれない。
色々あるには十分な月日が経過しているからだ。
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