[No.542-2]カタログギフト
No.542-2
「届いたよ、ありがとう」
かなり時間を掛けて調べた。
けど、結局“これぞ!”と言うものに巡り合えなかった。
「もう、めでたくもないかもしれないけど・・・」
「ううん、祝ってくれる人が居ればうれしいものよ」
単なる知り合い程度の関係しかない僕たちだ。
でも、そこには良い意味で微妙な距離感がある。
「いつももらってばかりだろ?この間だって・・・」
落ち込む自分に、“ほっこり”できる本を贈ってくれた。
「色々、悩んだんだけど・・・」
彼女が望むようなものを、なかなか見つけられなかった。
大阪と札幌・・・という距離も加わって。
「結局、それになってしまって・・・ごめん」
喜ばれる物を贈りたい。
けど、喜ばれなくても自分で決めることにも意味がある。
プレゼントとはそういうものだと思っている。
「色々、悩んだ・・・って言ってたじゃない」
「う、うん・・・」
「私のために、悩んでくれたその時間が、プレゼントみたいなものよ」
(No.542完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(022)小説No.526~550」カテゴリの記事
- [No.550-2]下流のごみ(2014.08.17)
- [No.550-1]下流のごみ(2014.08.16)
- [No.549-2]犬の遠吠え(2014.07.10)
- [No.549-1]犬の遠吠え(2014.07.09)
- [No.548-2]財布を忘れた !(2014.07.06)
コメント