[No.540-1]ネコの居場所
No.540-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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朝、ごみ捨て場に向かう途中に、時々そいつに出会う。
出会うと言っても相手はブロック塀の上でジッとしているだけだ。
(そんなに気持ちいいのかな?)
陽の光を浴びて、何とも気持ちよさそうな顔をしている。
だから・・・つい掛け声と共に近づいてしまう。
「やっぱり、今日も逃げられたよ」
「当たり前でしょ、飼いネコだって苦労するんだから」
ネコ好き同士で話が盛り上がる。
ただ、今はふたりともネコは飼っていない。
「でもさぁ・・・ほんとネコって気持ちいい場所知ってるよね」
「あなたの家ではどこだった?」
「私の家?そうね・・・」
やや遠い記憶をたどる。
「・・・冷蔵庫の上、それと・・・」
「テレビの上じゃない?」
「そう!そこそこ!」
冬場になると、いつもそこに居た。
特にテレビの上はお気に入りのようだった。
「でも、しっぽが邪魔でさぁ~」
「わかる!わかる!」
しっぽが邪魔なこと伝えるために呼んでいるのに・・・
逆にしっぽだけが反応する。
「まぁ、それが可愛くもあるんだけど」
テレビ画面を、まるで掃除するかのようにしっぽが動いていた。
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