[No.538-2]10年越しの告白
No.538-2
男子と女子が別れて授業を受けることも多かった。
もとの教室には男子が残り、女子が他の教室へ移動した。
「そのことなんだけど・・・」
ある日、彼女が日記を机の上に出したままにしていたことがあった。
それを心無い男子に読まれてしまった。
「あなたの名前、書いちゃったものだから」
“・・・君が、私のことをずっと見ていた”日記にはこう書かれていた。
日記のことはアッという間に広がった。
そして攻撃対象は僕ではなく、彼女に向けられた。
「ううん、私が勘違いしたからいけなかったの」
「そうじゃない・・・本当に・・・さんを見てたんだ」
当時、照れ隠しもあって、彼女の勘違いということで片付けた。
それもあって、自意識過剰な女・・・そう思われるようになった。
「僕が本当のことを話していたら・・・」
彼女の表情が変わっていくのが分かる。
「それって、好きだったから見てたってこと?」
「あぁ、好きだった」
正確には今も・・・かもしれない。
「みんなぁ~!告白がようやく実ったよ!」
「・・・え?え・・・えええええっ!!」
今までとは違う歓喜の声が上がる。
出しっぱなしになっていた、あの日記・・・
全てはそこから始まっていた。
(No.538完)
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