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[No.538-1]10年越しの告白

No.538-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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さっきから、幾度となく歓喜の声が飛び交っている。
でも、僕の目的はそっち方面ではない。

「・・・君、だよね?」

歓喜の声をかき分けて、彼女が僕の目の前に座る。

「・・・さん?」

わざと記憶が曖昧なふりをした。
本当は彼女が入ってきた瞬間に分かっていた。

「わぁ・・・覚えててくれたんだ!」

逆に忘れる方が難しいと言ったほうがいい。
あんなことがあったからだ。

「だって、学年一、かわいかっただろ?」
「もぉ!上手いんだから!」

事実、彼女はかわいかった。
だから、彼女に好意を寄せる男子は数知れずいた。
その反面、それを良く思わない女子も多かった。

「あれから、もう10年たつのね」
「・・・そうだね」

少なくとも僕にとっては特別な10年だった。

「あのときは本当にゴメンね・・・迷惑掛けちゃって」

やはり、その話題は避けて通れない。
けど、思った通り彼女は、今も勘違いしたままだ。

「私が学校で日記を書いていたせいで」

(No.538-2へ続く)

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