[No.537-2]苦労して
No.537-2
「話のこしを折るようで悪いけど・・・」
「・・・なに?」
友人がなにか言いたげな顔をしている。
「亀を見つけるのに苦労した・・・って話だけど」
「ん?もっと聞きたいの?」
「そうじゃないけど・・・」
近所の男子を引き連れて、毎日のように小川に繰り出した。
私たちにとって、小川は格好の遊び場だった。
「だって、女子の行動とは思えないでしょ・・・亀なんて」
「亀だけじゃないのよ、フナとかザリガニと・・・」
「わ、わかったから!」
自分で言うのも変だけど野生児そのものだった。
獲物を求めてさまよう・・・まるで狩りをしているようでもあった。
「・・・なのに、今じゃね・・・」
「な、なによ・・・」
「本当は、やればできるはずでしょ?」
言いたいことは分かっている。
今は男の一匹さえも“狩る”ことができない、腰ぬけだと・・・。
(No.537完)
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