[No.536-2]すずめの涙
No.536-2
「ふ~ん・・・」
「・・・連れて帰るべきだった?」
やはり、あの場合、やさしくない男になるのだろうか?
「ううん、ちょっと思い出しただけ」
「へぇ~、そんな経験あるんだ?」
言い終えた後に気付いた。
そんな経験が僕にもあった。
僕にも・・・というより、彼女といっしょにそれを経験した。
「そのすずめも・・・」
「逃げようにも逃げ場所がなかったんやろな」
たまたま、とめていた自転車のそばに彼女が座っていた。
単に座っているだけではないことは見れば分かった。
「そう言えばそんなこともあったよな」
そう考えると、やはり連れて帰るべきだったのだろうか?
「何が一番いいのか、そんなん誰にもわからへん」
「そっとしといたほうが、いいときもあるし」
彼女はどうだったのか・・・そう言われると不安になる。
「そやけど、うちの知ってるすずめは感謝してると思う」
(No.536完)
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