[No.532-2]独りの時間
No.532-2
ゴールデンウィーク中ということもあるのだろう。
カップルや友達同士が多い。
一人で飲んでいる人は・・・見渡す限り居ない。
いや、正しくはここに一人いる。
(来るんじゃなかった・・・)
今になって後悔している。
最初は大人な気分を味わう目的もあった。
いわゆる“酒場”で独り飲むことに憧れもあったからだ。
(・・・私を見て笑ってる?)
周りの視線が気になる。
被害妄想だとは分かっているが・・・。
「大人な気分どころじゃないね、全く・・・」
とりあえず、冷静を装い飲み続けることにした。
幸いにもフォークが二本ある。
加えて、人待ち顔をしていれば、なんとか乗り切れるだろう。
「・・・でも、ジョッキが・・・あっ!そうだ」
もうひとつジョッキがあれば完璧だ。
大急ぎで、目の前の一杯を飲み干した。
今回のことでひとつ教訓が生まれた。
独りで飲むこと・・・大人な余裕を楽しむのではない。
耐え忍ぶ精神力を鍛えるためなんだ・・・と。
(No.532完)
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