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[No.530-1]さくらさく

No.530-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
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春は出会いと別れの季節だ。
その重みさえ考えなければ、小学生だって分かっている。

「でも、別れの歌の方が多くない?」
「ほら・・・卒業に代表されるように」

入学とか入社とか、そんな歌は聞いたことがない。

「入学ならまだしも、入社なんか歌にならないだろ?」
「だから、あえて言ったの」

それに、春だから出会ったとか・・・そんな歌もない。

「春なのに、お別れ・・・なんて歌はあったよな」

だからだろうか?
春は目に入る風景とは逆に、物悲しく感じる。

「いつの間にか、春ってそんなイメージになってるよね」

大袈裟だが、世間が作り出した演出かもしれない。
何かを狙って・・・。

「おいおい、政府の陰謀みたいな言い方だな」
「今の私たちには陰謀のほうが都合がいいんじゃない?」

陰謀ではなくても、私たちは別々の道を進もうとしている。
この桜並木を過ぎれば、彼と二度と会えない。

(No.530-2へ続く)

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