[No.523-2]気の早い桜
No.523-2
「それにしても、まだ早いよね?」
動き出した車の中で、さきっきの光景を振り返った。
「そうね、確かに」
自宅の周辺に、ちょっとした桜の名所がある。
それを見る限り、そんな気配はまるでない。
「それにしても気が早い桜だね」
「でも、気付けてよかったじゃん」
「気付けて?・・・それもそうだね」
鮮やかに咲いていなければ気付かなかっただろう。
ましてやあの場所だ。
「主張したかったのかもしれないね」
誰よりも早く咲くことで、存在を知らしめたのかもしれない。
「・・・ねぇ」
「私もそう考えてたところ!」
なぜだか、お互い答えを言わなかった。
それでも答えは同じはずだ。
友人が車をUターンさせたからだ。
(No.523完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(021)小説No.501~525」カテゴリの記事
- [No.525-2]鶏が先か卵が先か(2014.03.30)
- [No.525-1]鶏が先か卵が先か(2014.03.29)
- [No.524-2]元祖の存在(2014.03.28)
- [No.524-1]元祖の存在(2014.03.26)
- [No.523-2]気の早い桜(2014.03.23)
コメント