[No.519-1]聞けない歌
No.519-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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誰にでも想い出の歌のひとつやふたつはあるだろう。
けど、想い出は決して楽しいことばかりじゃない。
「・・・俺か?」
「ひとつくらいはあるでしょ?」
女友達がここぞと言わんばかりに突っ込んでくる。
「私なんか、彼と別れるたびに」
「・・・で、いくつあるの?」
「そうねぇ・・・」
指折り数えだした。
「この話って、新手の“モテ自慢”か?」
どうやら、両手の指を折っても足りないらしい。
「わ、わかったから!僕はとりあえず“ふたつ”だよ」
「なんて歌?」
しぶしぶ歌のタイトルを答えた。
「それ知ってる!ドラマの主題歌だよね?」
「もうひとつは・・・アニメの主題歌としても使われたよね」
さすが音楽通の彼女だ、幅広く知っている。
「まぁ、何があったのかまでは聞かないけどね」
「・・・とか言いながら、何だよ、その顔・・・」
乱暴な言い方をすれば“言えよ”という顔だ。
話せなくもないが、結構辛い時に聞いた歌だった。
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