[No.515-1]デスティニー
No.515-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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見えない糸に操られている・・・そんな感じがした。
偶然聞いた、歌の歌詞のように。
「今、亡くなった」
メールが届いた。
その人のもとへ向かう、私の到着を待たずして。
そう・・・あれは1週間前のできごとだった。
「・・・どうしよう、あっ!もしもし!」
「あの・・・それでね、倒れた、ほらアノ・・・」
辛うじて友人のひとりだと、声で分かった。
ただ、何を言いたいのかは全く分からない。
「ちょっと!落着いて!で、なにが倒れたって?」
「・・・よ!」
唐突に親友の名前がでてきた。
けど、何がなんだか、状況を把握できない。
「・・・なら、お正月に三人で会ったじゃない?」
「さっき、病院に運ばれたって!危険な状態だって」
「・・・えっ!ちょっとどういうことよ!・・・ねぇ、ねぇってば!!」
返事はなかった。
ただ泣き崩れる声だけが遠くに聞こえるだけだった。
危険な状態は辛うじて脱したと、再び電話があった。
「金曜日に休みをとって札幌に行くから」
お見舞いに行きたいけど、すぐには行けない。
大阪と札幌にはそれなりの壁があった。
「急いで行くね」
まるで待ち合わせに遅れたかのような感覚で返事を返した。
悲しみが頂点をこえたせいかもしれない。
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