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[No.511-1]手を振る子供

No.511-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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駅のホームから元気な子供の声が聞こえきた。
乗降客が少ない田舎の駅だということもあるのだろう。

「かわいいね!」

友人が第一声をあげる。
さっき降りた親子連れが、まだホームに残っていた。

「“バイバイ”、だって!」

男の子が必死とも思える声で“バイバイ”と叫んでいる。
バイバイの相手は人ではなく、どうやら電車のようだった。

「純粋でいいわね~」

なぜか友人がホッコリしている。

「母性本能でも目覚めたわけ?」

周りの乗客もそんな雰囲気だった。
子供が乗ってきた電車にバイバイと手を振る。
そこに何の邪念を含むことなく。
なのに、私ときたら・・・。

「イラっとしてない?」
「そ、そうかな・・・」

正直、少しそんな気持ちになった。
その光景に、少なからず重ね合わせてしまうものがあるからだ。

(No.511-2へ続く)

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