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[No.510-2]残してきたもの

No.510-2

「・・・ほら、もうバスも来ちゃった」

そうこうしているうちに、バスがやってきた。
遠くからでも行き先を告げる案内板が光っているので分かる。

「本当にいいの?」
「いいよ、大した傘じゃないわけだし」

地元の友人がなにか言いたげだ。

「連絡しておくよ、あの店に」
「連絡?取りに行ってくれるの?」

明日の朝早くに、ここを離れ、大阪の自宅に帰る。
ここに戻ってくるのは、早くても半年後だ。

「ううん、自分で取りに行けば?」
「自分で!?半年後に・・・?」
「そうよ、一緒に行ってあげるから」

それこそ、ここまで来るバスの運賃だけでも新しい傘が買える。

「だから・・・安物の・・・」

あらためて、安物の傘であると強調しようとした。
その時、気付いた。

「・・・一緒に?」
「そう聞こえなかった?」

大した目的ではない。
でも、それだけでも、私はここに戻ってくることができる。S510
(No.510完)
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コメント

ホタルさん こんばんは
コメント残していただいて、ありがとうございました。
感謝します!

足跡は残せなくても
こうして、時々、コメさせていただきますね。
今まで通り、覗かせていただいてますから。

これからも、よろしくお願いします^^

投稿: ユトリロ | 2014年2月 2日 (日) 03時58分

コメントありがとうございます。
こちらこそ、これからもお邪魔させて
頂きますね。
あし@が無くなってしまったのは残念
ですが、だからこそ、次のステップに
踏み出せたような気がしています

投稿: Re:ユトリロさんへ | 2014年2月 2日 (日) 22時58分

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