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[No.510-1]残してきたもの

No.510-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「あっ!しまった・・・」
「ええっ!?なになに!?」

バス停に着いた瞬間に、思い出した。

「傘、忘れた!」
「・・・なんだ、びっくりしたじゃない・・・」

忘れた場所は分かっている。

「どうする・・・取りに行く?」
「でも、時間が微妙・・・」

そろそろバスが来る時間だ。
街中のバスなら、次のバスを待ってもいい。
けど、ここは街外れ・・・大袈裟に言えば山への入り口付近だ。

「そうね、これを逃したら、1時間も後だもんね」

この寒空の下・・・というより、一面の銀世界だ。
ここで1時間、立ちっぱなしは辛い。

「・・・まぁ、ビニール傘だし」

雪をよけるために、とりあえず買ったものだ。
ブランド品でも想い出の品でもなんでもない。

「それにもう、雪もおさまったようだし」

冷静になれば、別に取りに行くような物でもないと分かる。

(No.510-2へ続く)

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