[No.509-2]半券
No.509-2
「それなら、あまり深く考えずに捨ててしまおうよ」
「そうね、単なるゴミとして捨てるわ」
「そういうこと!思い出まで捨てる必要はない」
彼らしいやさしい発言だ。
だからこそ、元カレのことも包み隠さず話すことができる。
自分に正直になれる・・・彼はそんな人だ。
「それより、こっちの半券は無くすなよ」
これから見る映画の半券を目の前で、チラつかせる。
「もちろんよ!」
「ポッケに大事に・・・あっ!・・・ごめん」
「あはは!いいよ」
去年もこんな感じだった記憶がある。
大事にし過ぎてしまったことが、今回に繋がった。
とにかく、前の半券を速やかに捨てた。
そこに何の想いを乗せず、単にゴミとして。
「・・・よし!これでオッケー!」
ポケットの奥にしっかりと仕舞い込んだ。
「万一、それを捨て忘れても大丈夫だよ」
「えっ!?どうして」
「だって、僕とその話をすることになるからさ」
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