[No.509-1]半券
No.509-1
登場人物女性=牽引役
男性=相手
-----------------------------
(ん?なにか入っている・・・)
おもむろに手を入れたコートのポケットに、手ごたえを感じた。
「・・・あっ、映画の半券」
「どうした?」
「やだぁ、入れたままになってたの」
「それって確か・・・」
丁度、一年前くらいに公開された映画だった。
まだ記憶に新しい。
「ごめん、捨てるの忘れちゃったみたい」
去年、買ったコートで、今日で着るのは2度目だ。
それもあって、クリーニングには出さずにいた。
「あやまることでもないだろ?」
「・・・だって」
彼が気を遣ってくれている。
「誰と行った半券かも分かっているわけだし」
私も彼も、元カレ、元カノについては隠し事をしないタイプだ。
だから、オープンにしてきた。
「やっぱり、イヤじゃない・・・私もあたなも」
特にひどい別れ方をしたわけじゃない。
だけど、今、必要な話題ではない。
| 固定リンク | 0
「(021)小説No.501~525」カテゴリの記事
- [No.525-2]鶏が先か卵が先か(2014.03.30)
- [No.525-1]鶏が先か卵が先か(2014.03.29)
- [No.524-2]元祖の存在(2014.03.28)
- [No.524-1]元祖の存在(2014.03.26)
- [No.523-2]気の早い桜(2014.03.23)
コメント