[No.506-1]野良猫
No.506-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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昨日と同じパターンだった。
目の前を通り過ぎたと思ったら、少し離れた所で徐に振り向く。
そのふてぶてしい表情が・・・羨ましい。
「野良猫?」
「多分・・・最近チョクチョク見かけるようになったの」
根拠はないけど、飼われているようには見えない。
「自由人ならぬ、自由猫!って感じがするから」
「でも猫って、もともとそんなんじゃない?」
「そうだけど、その猫は特にそう感じたの」
それに食うにも困るだろうし、危険も多い。
大袈裟に言えば生きるか死ぬか、連続の毎日だろう。
「なのに、余裕の表情なんだよね」
逆に私と言えば、平々凡々の毎日のくせに余裕はない。
「野良猫と張り合ってどうするのよ!?」
「ま、まぁ・・・そうなんだけど」
憎らしいのではなく、単純に羨ましかった。
そんな毎日のくせに、何食わぬ顔で生きている。
「それが野生なんじゃない?」
「彼らにとって、それが普通で、人間とかかわることが・・・」
「逆に危険?」
「かもしれないよ」
彼らにとっての野性とは、ごくありふれた日常なのかもしれない。
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