[No.503-2]ファンクラブ
No.503-2
「スター?随分と持ち上げてくれるよな」
「だから、あくまでも例えだよ、たとえ」
くやしいけど、そう見えてしまう。
けど、素直にそれを口にしたくない。
「その時は結構、冷やかされたんだぜ」
なかば公認の中であってもだ。
「だから、そんなノリで撮ったんだよ」
いわゆる堅苦しい記念写真風ではない。
「・・・それより、どの人?」
「冷やかした人か?」
分かっているくせに、彼がとぼけた返事をかえしてきた。
「・・・わ、わかったよ、この人だよ、この人」
私のプレッシャーに負けたのか、すぐに状況を理解した。
「ふ~ん・・・なかなか綺麗な人じゃない」
なかなかどころか、高校生にしてこの魅力だ。
悔しいけど、完全に負けている。
「・・・というのは冗談で、本当はこの人」
「えっ・・・」
よく考えれば分かる。
彼女と記念撮影なんだから、となりに居る人が彼女だ。
「さっきの人は顧問の先生だよ、彼女の学校の」
「・・・負けたと思った?」
「もう!しらない!」
しっかりと手を握るふたりに、心地よい嫉妬を感じた。
(No.503完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(021)小説No.501~525」カテゴリの記事
- [No.525-2]鶏が先か卵が先か(2014.03.30)
- [No.525-1]鶏が先か卵が先か(2014.03.29)
- [No.524-2]元祖の存在(2014.03.28)
- [No.524-1]元祖の存在(2014.03.26)
- [No.523-2]気の早い桜(2014.03.23)
コメント