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[No.500-2]待つ気持ち

No.500-2

「でも、そんなに長い時間、退屈だろ?」
「そうでもないで」

携帯をいじっている姿を一度も見たことがない。
改札を真っ直ぐに見つめている・・・そんな姿が印象的だ。

「・・・なら、いいけど」

聞きたいことが聞けずに話が終わった。

「そういうことや!ほな、早よ行こ!」

そう言うと、腕をグイグイと引っ張る。

(なにを考えてたんだろう・・・)

偶然、あの時と似たシチュエーションになっている。
ただ僕は、スマホで暇をつぶそうとしている。

「純粋に僕を待ってくれていたのかな?」

もともと微妙な関係の僕たちだった。
友達でも恋人でもない。
利害が一致する者同士・・・そんな言い方が似合う。

(単なる義務感もあったかもしれないな)

彼女がどんな想いで僕を待っていたのか、もう知る由はない。
今になって、胸にこみ上げてくるものを感じた。

『気にせんでええよ!』

あの元気な声が聞こえてきた。
S500
(No.500完)
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