[No.499-2]空き箱
No.499-2
「でも、色んな空き箱があるわね」
そう言うと、友人が箱を一箇所に集めだした。
確かに大きいものから小さいものまで様々な箱がある。
「何に使うわけ?」
「何に、って・・・」
意識していなかったわけだから目的や理由があるはずもない。
けど、何かあるはずだ。
無意識にそうしてしまう理由が・・・。
「別に小物を入れたりするわけでもないでしょ?」
「そうね・・・空き箱のままみたい」
自分のことなのに、なぜか他人行儀な口調になった。
「これだけあると、ベタなロボットくらいはできそうね」
「ほんと、これなんか胴体に丁度いいサイズ・・・」
思い出した・・・。
「無くて苦労した経験があるからなんだ!」
「な、なによ急に・・・結論!?」
小学生の時、夏休みの宿題で工作があった。
毎年、その時に限って空き箱がなかったことを覚えている。
空き箱を求めて、家中探し回ったこともある。
「空き箱が無くて、中身を出してもらったこともあった」
母に頼んで無理やり空き箱に仕立てた。
「もしかしたら、その時のトラウマなのかな?」
そう思いながら、石鹸の空き箱をひとつ手に取る。
想像力をかき立てる、何かがこみ上げてくる気がした。
(No.499完)
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