[No.498-2]つなぐ
No.498-2
電車の音だけが、車内にこだましている。
タイミングが悪く、車内には僕らの他、数名しか居ない。
どれくらいの時間が経過した頃だろうか・・・。
マネージャーが再び口を開いた。
「・・・ねぇ、今日、練習どうする?」
(今日?試合が終わったばかりだろ?)
「試合の日は、いつも練習はしないだろ?」
「なに言ってんのよ!練習不足が招いた結果でしょ!」
「・・・ふ、ふざけん・・・」
言い終わる前に気付いた。
マネージャーが泣いている。
「・・・だよな・・・もっともっと練習が必要だよな!」
その涙には色々な理由があるのだろう。
「そうよ、練習しなくちゃ!みんなも」
その言葉に、ようやく皆の顔が上を向いた。
「ありがとう・・・さすがマネージャーだよな」
「なに言ってんのよ!特にあなたとあなた!・・・」
僕とあいつを指す。
「わ、わかったから!」
「わかってんなら・・・」
「たっちゃん、私を全国大会に連れてって」
どこかで聞いたことがあるセリフに、ようやく皆に笑顔が戻った。
(No.498完)
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