« [No.498-1]つなぐ | トップページ | [No.499-1]空き箱 »

[No.498-2]つなぐ

No.498-2

電車の音だけが、車内にこだましている。
タイミングが悪く、車内には僕らの他、数名しか居ない。

どれくらいの時間が経過した頃だろうか・・・。
マネージャーが再び口を開いた。

「・・・ねぇ、今日、練習どうする?」

(今日?試合が終わったばかりだろ?)

「試合の日は、いつも練習はしないだろ?」
「なに言ってんのよ!練習不足が招いた結果でしょ!」
「・・・ふ、ふざけん・・・」

言い終わる前に気付いた。
マネージャーが泣いている。

「・・・だよな・・・もっともっと練習が必要だよな!」

その涙には色々な理由があるのだろう。

「そうよ、練習しなくちゃ!みんなも」

その言葉に、ようやく皆の顔が上を向いた。

「ありがとう・・・さすがマネージャーだよな」
「なに言ってんのよ!特にあなたとあなた!・・・」

僕とあいつを指す。

「わ、わかったから!」
「わかってんなら・・・」
「たっちゃん、私を全国大会に連れてって」

どこかで聞いたことがあるセリフに、ようやく皆に笑顔が戻った。S498
(No.498完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.498-1]つなぐ | トップページ | [No.499-1]空き箱 »

(020)小説No.476~500」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.498-2]つなぐ:

« [No.498-1]つなぐ | トップページ | [No.499-1]空き箱 »