[No.497-2]金木犀
No.497-2
「それに比べて、この匂いは・・・」
「ある日突然“来た!”って、感じだもんね」
その突然さが、印象に残る理由なのかもしれない。
「わたしもあるのよ、風物詩」
「何の花の匂い?」
「ううん・・・花じゃない」
(花じゃない?)
だったら、何の匂いなんだろうか?
「・・・匂いでもなくて」
(匂いじゃない?)
「たぶん、そろそろ分かるわよ」
一体、なにが分かるというのだろうか?
特に変わった雰囲気は感じられない。
「なにも、なさそうだけ・・・!?」
その時だった。
「わぁぁぁ!」
忘れていた。
この季節、あまり綺麗とは言えない小川沿いは危険地帯だった。
蚊のような虫が大群で舞うようになるからだ。
(No.497完)
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