[No.495-2]鍵以外
No.495-2
家に着くなり、早速試してみた。
「すごい・・・」
今までがうそのように軽やかになった。
その上、片手でも開閉できる。
「・・・こういうこと、よくあるな」
いわゆる“騙しだまし”使うこと。
とりあえず、今何とかなってるから・・・。
「私と彼の関係みたい・・・」
いつしか、ギクシャクし始めていた。
でも、関係が極端に悪化しているわけではない。
言葉を借りるなら、騙しだまし関係が続いているようなものだ。
「それこそ、この油ね」
同僚から手渡された缶をまじまじと見つめた。
「これを彼との間に“プシュー”と」
想像の中で、油を吹きかけてみた。
・・・その時、同僚の言葉を思い出した。
「鍵以外にも吹きかけるものがあるんじゃない?」
今となって、同僚の真意が伝わってきた。
(粋なことするじゃない!)
「昨日はありがとう!すごく軽やかになったよ」
「それはなによりね」
昨日の結果を早速報告した。
ただ、油を差しすぎたせいで、ちょっとベトベトしている。
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