[No.495-1]鍵以外
No.495-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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(・・・ったくぅ!)
いつものことだから、余計に腹が立つ。
ただ、腹立たしい対象は・・・。
「かぎ?」
「そう!頭きちゃう!固くて」
郵便ポストに付けている鍵が固い。
正確に言えば、開閉が固い。
特に閉めるとき、力任せにポストに押し付けている。
「錆びてるんだよね」
どこにでもある南京錠だ。
黄金色がくすんで、さびが目立つようになってきた。
「分かってんなら、油でもさせば?」
「・・・それもそうね」
案外、当たり前のことは考えつかないものだ。
「なんなら、貸してあげるわよ」
「なんで持ってるわけ!?」
机の中から、スプレー缶のようなものを取り出してきた。
「意外に重宝するのよ」
そう言うと、私の椅子の車輪にそれを吹き掛けた。
「動いてみて?」
「・・・あっ、軽快!」
動きが鈍かった椅子が、軽やかに動くようになった。
「これで仕事もはかどるでしょ?」
「だったら、もっと早く貸してよぉ!」
とにかく・・・借りて帰ることにした。
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