[No.492-1]変わっていなかったもの
No.492-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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(久しぶりだよな?)
ポストに懐かしい名前の封筒が入っていた。
差出人は・・・母校だった。
「用件は何だったの?」
「早い話、寄付みたいなものかな」
以前も似たような理由で届いたことがあった。
もちろん、便りの全てが寄付というわけでもない。
「なんか、記念碑みたいなもの建てるって」
「なんか・・・って、興味なし?」
言い方は適切ではないが、腐っても母校だ。
興味がないわけではない。
「そうじゃないけど、随分と変わってしまったから」
いつの間にか、県内でも有数の進学校になっていた。
それに、クラブ活動も盛んになっていた。
「当時の野球部と言ったら・・・」
地区予選でも初戦コールド負けが当たり前だった。
「それが今じゃ・・・」
以前の便りで、プロに行った人も居ることを知らされた。
「それじゃ、あまり感情移入できないね」
当時のまま、時間が止まっていて欲しいとは思わない。
ただ・・・面影がほとんど残っていないことに寂しさを感じる。
「変わってないところもあったんだけど」
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