[No.491-1]ナビの通りに
No.491-1
登場人物
=女性 女性=相手
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「えぇーっとね・・・この角を右に曲がったら・・・」
便利な世の中になったものだ。
見知らぬ土地に来ても、こうしてスマホがナビをしてくれる。
「あっ!あったよ、ホラホラ!」
目指していた、話題のスイーツ店が目の前に迫る。
「ほんと助かるね」
「まぁ・・・お互い方向音痴だから」
スマホのナビ通りに行けば、恐らく迷うことはないだろう。
実際、こんな私たちでも、難なくたどり着くことができるからだ。
「・・・でもね」
「ん?・・・どうしたの?」
たどり着いた感動が薄い。
初めて訪れた店なのに、それほどのものを感じない。
「来る前にネットで散々調べたからね」
「ストリートビューも・・・」
それを使えば、周りも含めた、その店のおもむきも分かる。
「悪く言えば、それだけでも行った気になってしまう」
それに迷う心配も少ない。
来る前に、ストリートビューを使い、シミュレーションもした。
反面、なにか物足りなさを感じる。
「昔ね、私が高校生の時・・・」
物足りない理由は分かっていた。
「彼と映画館に行ったんだけど」
「チケットの買い方が分からなかったとか?」
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