[No.498-1]つなぐ
No.498-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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帰りは、行きとは全く異なる空気になった。
原因は自分にある。
「・・・そんなに気にすることないよ」
さっきから口を開くのはマネージャーだけだった。
「達也のせいでも、誰もせいでもないよ」
そんなことはない。
少なくとも僕とあいつの責任だ。
「リレーだもん!そんなアクシデントもあるよ」
僕が二走目で、あいつは三走目だった。
この間で、バトンパスが途絶えた。
結果的に、僕らのチームは完走さえ出来なかった。
「他の人もそう思ってるよ」
果たしてそうだろうか?
他のふたりからは、そんな言葉が聞こえてこない。
ただ、怒ってはいない。
ショックで言葉が出ない・・・そんな雰囲気だ。
「僕らよりも・・・」
「・・・アンカー?」
そう・・・アンカーはただ呆然と立ちすくむだけに終わった。
ある意味、僕ら以上にショックだったと思う。
「あぁ、走れずに終わったんだぜ?」
この言葉を最後に、マネージャーさえも口を開かなくなった。
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