[No.489-2]近くて遠い
No.489-2
彼とこういう形で会うのは初めてだ。
もう、何度も会っているのに・・・。
「・・・知らなかった」
「話す必要もなかったし」
話せば話すほど、私が知らない彼がいた。
「そうなのかな・・・とは、思っていたけど」
彼から色々な事実を聞かされた。
でも、隠していたわけでも、だましていたわけでもない。
彼が言う通り、話す必要がなかったからだ。
それに、私も聞いてはいけなかった。
「そういうことなんだ」
今になって後悔した。
知らない方が良かったのかもしれない。
「ううん、いいの・・・」
結果的に、彼に近付き、そして遠のいた気分だった。
けど・・・それでもいい。
「びっくりしただろ」
「うん・・・正直言って」
近付けば近付くほど遠のくもの・・・。
まるで、なぞなぞのような答えがそこにはあった。
(No.489完)
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