[No.488-2]銀のロケット
No.488-2
「ぶりかえすなよ」
「当時だって、謝っただろ?」
別に彼が悪いことをしたわけではない。
ただ素直なやきもちだった。
「それに歌のタイトルに引っ掛けて買わされただろ?」
私の“やきもち”を鎮めるために、彼が買ってくれた。
「買わされた!?いやいやだったの?」
「だから、ぶりかえすなって!」
彼が、銀のロケットを買ってくれた。
・・・と言うより、私がねだった。
「冗談よ、冗談」
「何にせよ、嬉しかったんだから」
「話は変わるけど、そのアイドル・・・どうしてるかな?」
随分昔の話だ。
「俺らとそんなに歳が離れていないように見えたからな」
「ということは・・・」
「失礼ね!そんなことは考えないの!」
ただ、かなりの月日が流れているのは確かだ。
「・・・だよな、今でも覚えてるよ、当時の顔」
「やっぱり、好きだったんじゃないの!?」
「だから、違うって!」
私たちの中では、彼女は当時のままだ。
それに・・・。
私の持っている、銀のロケットも。
(No.488完)
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