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[No.488-1]銀のロケット

No.488-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
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「ほら、アレ・・・」

彼の言葉の先に、ひとだかりができていた。

「何なのかしら?」

口にした瞬間に、それがなんであるか理解した。

「・・・誰?」

誰かのサイン会らしい。
その雰囲気からして、売り出し中のアイドル歌手だろうか?

「知っている?」
「・・・いいや、聞いたことがない」

掲げられた看板に名前が書いてある。
でも、確かに聞いたことはない。

「私たちが知らないだけかもね」
「そうだよな、結構、人気あるようだし」

そう言えば、その昔、これと似たようなことを経験した。

「ねぇ、覚えてる?」
「あぁ・・・俺もそう思っていたところだよ」

当時、売り出し中だったアイドル歌手のサイン会に出くわした。

「その場の雰囲気で、ついCD買っちゃったよな」
「雰囲気?随分、嬉しそうに見えたけど」

CDを買えばサインしてくれる・・・定番のパターンだった。

「応援するつもりで買ったんだよ」
「ふ~ん・・・」

その言葉に嘘がないことは、当時も分かってはいた。

(No.488-2へ続く)

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