[No.486-2]運動会と伝統
No.486-2
「わかる!わかる!」
「それに昼食の時、気分だけは“凱旋”だったもんね」
勝っても負けても、子供心に一仕事終えた気分だった。
「そうそう、だからこそお弁当が格別においしかったのよね!」
「・・・俵型」
「ん?なに・・・たわら?」
最近あまり見掛けなくなった俵型のおにぎりを思い出した。
「ほら、おにぎりって三角じゃない?」
コンビニを見てもほぼ三角のおにぎりだ。
俵型はあまり見掛けない。
「私のうちは、いつも俵型だった・・・今思えば」
「うちは三角だったような気がする」
運動会だけではなく、行楽時のおにぎりはいつも俵型だった。
今になって気になり始めた。
「別に味が違うわけでもないし、単にその家系の伝統じゃないの?」
「そうなのかなぁ~」
「そうよ、考えすぎ!それより、私たちもお昼にしない?」
あれこれ話しているうちに、目的地に着いた。
「そうね、それにしても今日は気持ちいい秋晴れね」
お互い持ち寄ったお弁当を広げる。
友人のおにぎりは三角で、私のおにぎりは俵型だった。
(No.486完)
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