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2013年10月

ホタル通信 No.184

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.101 冬のホタル(後編)
実話度:★★★★★(100%)
語り手:女性

前回に引き続き、冬のホタルを紹介させて頂きますが、語り手は奈央(なお)になります。

彼(小説上の僕)が、最初に立ち上げたブログのタイトルは、“冬のホタル”ではありませんでした。それに、今のような超短編小説だけではなく、他にもいくつかカテゴリがあったようです。
今のスタイルになったのは、私が彼のことを“ホタル”と名付けたことがきっかけでした。
小説に書いてある通り、私が持っている北海道のイメージから名付けたのは間違いありませんが、仮に、“ホタル”と呼ぶ人物が居たとしたら・・・男性か女性か分からない点に注目したのです

では、なぜその点に注目したのか・・・これも小説には書いてあるのですが、私には当時お付き合いしていた彼(小説上の僕ではありません)に、隠す必要があったからです。
ホタルちゃんは悪い意味で性別を隠そうとしたわけではなく、読み手に作者のイメージを植え付けないためだと教えてくれました
それに、実話や実話をヒントにした小説であることも大きく影響しているようです。

そうなると冬のホタルの作者は、“男性”ってことになりますよね?実はそれ自体は間違っていません。
ただ、女性の作者が男性として男性の作者が男性として・・・のどちらかがその答えです。
もし、後者であれば、男性の作者が時より、女性として語り手になっているわけです。今回もそうですよね?

気付けば、そろそろNo.500を迎えようとしています
本当はそんなに続ける気もありませんでした。悪く言えば止めるきっかけを失い今に至る・・・が正直な気持ちです。
No.193 石ころ」とその紹介である「ホタル通信No.055」を読んで頂ければ、その気持ちを察して頂けると思います。
T184
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[No.489-2]近くて遠い

No.489-2

彼とこういう形で会うのは初めてだ。
もう、何度も会っているのに・・・。

「・・・知らなかった」
「話す必要もなかったし」

話せば話すほど、私が知らない彼がいた。

「そうなのかな・・・とは、思っていたけど」

彼から色々な事実を聞かされた。
でも、隠していたわけでも、だましていたわけでもない。
彼が言う通り、話す必要がなかったからだ。
それに、私も聞いてはいけなかった。

「そういうことなんだ」

今になって後悔した。
知らない方が良かったのかもしれない。

「ううん、いいの・・・」

結果的に、彼に近付き、そして遠のいた気分だった。
けど・・・それでもいい。

「びっくりしただろ」
「うん・・・正直言って」

近付けば近付くほど遠のくもの・・・。
まるで、なぞなぞのような答えがそこにはあった。
S489
(No.489完)
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[No.489-1]近くて遠い

No.489-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
誘導したつもりはない。
話の流れで偶然そうなったに過ぎないからだ。
でも、言うなら・・・今しかない。

「今度・・・お茶でもしない?」

会うべく時に会う。
非常に遠まわしな言い方かもしれない。
けど、私と彼の関係はそんな関係だ。

「・・・いいよ」

多少の間があったが、いい返事を貰えた。

「じゃ、今度の日曜日なんかどう?」

先延ばしにすると、立ち消えになってしまう気がした。
だから、すぐに会える日を提案した。

「午後からでもいいかな?」
「うん、場所は・・・」

彼となら本当はどこでも良かった。

「天王寺の・・・」

現段階でふたりで共有できる、無難な場所を選んだ。

「OK!じゃ、日曜日の午後に」
「あっ!そうだ・・・午後2時でいい?」

駅の構内で待ち合わせることも決めて彼と別れた。

(No.489-2へ続く)

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[No.488-2]銀のロケット

No.488-2

「ぶりかえすなよ」
「当時だって、謝っただろ?」

別に彼が悪いことをしたわけではない。
ただ素直なやきもちだった。

「それに歌のタイトルに引っ掛けて買わされただろ?」

私の“やきもち”を鎮めるために、彼が買ってくれた。

「買わされた!?いやいやだったの?」
「だから、ぶりかえすなって!」

彼が、銀のロケットを買ってくれた。
・・・と言うより、私がねだった。

「冗談よ、冗談」
「何にせよ、嬉しかったんだから」
「話は変わるけど、そのアイドル・・・どうしてるかな?」

随分昔の話だ。

「俺らとそんなに歳が離れていないように見えたからな」
「ということは・・・」
「失礼ね!そんなことは考えないの!」

ただ、かなりの月日が流れているのは確かだ。

「・・・だよな、今でも覚えてるよ、当時の顔」
「やっぱり、好きだったんじゃないの!?」
「だから、違うって!」

私たちの中では、彼女は当時のままだ。
それに・・・。
私の持っている、銀のロケットも。
S488
(No.488完)
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[No.488-1]銀のロケット

No.488-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「ほら、アレ・・・」

彼の言葉の先に、ひとだかりができていた。

「何なのかしら?」

口にした瞬間に、それがなんであるか理解した。

「・・・誰?」

誰かのサイン会らしい。
その雰囲気からして、売り出し中のアイドル歌手だろうか?

「知っている?」
「・・・いいや、聞いたことがない」

掲げられた看板に名前が書いてある。
でも、確かに聞いたことはない。

「私たちが知らないだけかもね」
「そうだよな、結構、人気あるようだし」

そう言えば、その昔、これと似たようなことを経験した。

「ねぇ、覚えてる?」
「あぁ・・・俺もそう思っていたところだよ」

当時、売り出し中だったアイドル歌手のサイン会に出くわした。

「その場の雰囲気で、ついCD買っちゃったよな」
「雰囲気?随分、嬉しそうに見えたけど」

CDを買えばサインしてくれる・・・定番のパターンだった。

「応援するつもりで買ったんだよ」
「ふ~ん・・・」

その言葉に嘘がないことは、当時も分かってはいた。

(No.488-2へ続く)

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ホタル通信 No.183

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.100 冬のホタル(前編)
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

本題に入る前に・・・。
現在、ホタル通信ではNo.001からNo.200の小説を紹介していますが、せいじゅうろうシリーズを除き、いよいよ、No.100、No.101、No.200の3話を残すのみとなりました。
3話共に区切りとして、当ブログに関係が深い話を発表しています

No.100とNo.101に分かれてはいますが、ひとつの話です。
100話目にして、当ブログのタイトルと同じ小説を発表したのは当時はこの先、そんなに続けるつもりがなかったからです。
さて、小説を書き始めた頃、No.007No.015にてある手法を用いています。その手法とはひとつの話をふたりの視点で描くものです。No.007は男性、No.015は女性の視点です。
No.100とNo.101も同じ手法なのですが、両方とも前半が男性視点、後半が女性視点で描いています。
全てにおいて未熟なくせに、そんな高等テクニックを用いているせいか、随所にその歪が出ています

来週はNo.101を紹介しますが、この小説は当ブログのタイトルが「冬のホタル」に決まる過程を描いたものです。一部演出はあるものの、実話度が示す通り、ほぼ100%実話です。
ただ、男女両方の視点で書いていますので、どちらかは想像して書いていることにはなり、正確には100%とは言えません。
でも、想像とは言え全くの空想ではなく、ある程度会話の中から見えたものを活字にしています。

奈央(なお)と小説上の僕は、ブログを始める前に知り合っており、奈央の存在がブログを始めるきっかけになったのは言うまでもありません。
ただ、始めたを理由をもう少し突き詰めると、悪く言えばよこしまな考えがあったからなんです。小説ではそこには触れていませんが、現実はもう少し、ドロッとしたものがありました。

来週は前述した通り、No.101を紹介させていただきますが、語り手は女性である奈央になりますので
T183
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[No.487-2]夜のひまわり

No.487-2

「夜だって何度も通っているのに気付かなくて」

確かに、一日で急成長することはあるだろう。
でも、それでも気付けるはずなのに・・・。

「まぁ、季節外れってこともあるからじゃないの?」

もう、10月も半ばを過ぎようとしている。

「確かに振り返って見て、ビックリした」

ひまわりは真夏のイメージがあったからだ。

「それはそうと、今まで考えごとでもしてたわけ?」
「・・・そうね、そうかもしれない」

確かに通勤時間を利用して、アレコレ考えることがある。

「危ないよ、自転車なんだから!」
「それは言えてる」

何度も人やモノにぶつかりそうになった。

「ここ数週間は特に・・・」
「・・・人生、いろいろあるからね」

ひまわりどころか、なにもかも見えていなかったのかもしれない。

「それなら・・・ひまわりに気付いたということは・・・」
「うん・・・あなたが考えている通りよ」

ようやく、周りが見えてきた。
そこに、季節外れのひまわりが咲いていた。
S487
(No.487完)
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[No.487-1]夜のひまわり

No.487-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・ん?)

小さな屋外灯に照らされ、何かが視界に入ってきた。
ただ、自転車だったので、すぐにそれを通り過ぎてしまった。

「・・・もう夏は終わったじゃん」

結論を言っていないせいか、ホラー話だと思っている。

「怖い話じゃなくて」

昨日、私の視界に入ってきたもの、それは・・・。

「自縛霊?」
「だから、違うって!」
「じゃぁ、浮遊霊?」

早めに結論を言ったほうがいいようだ。

「ひまわりよ!ひ・ま・わ・り」

通勤の行き帰りに、5mほどの短い橋を渡る。
その橋の中央には花壇が作られていた。
ただ、花壇とは言っても、雑草のほうが目立つ。

「ちょっと、待って!」
「朝は気付かなかったの?」
「それが・・・」

1mほどのひまわりだ。
本来なら、時間に関係なく気付くはずだ。

「不思議と気付かなかったの」

土日を除き、毎日そこを通る・・・昼夜問わずに。

(No.487-2へ続く)

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[No.486-2]運動会と伝統

No.486-2

「わかる!わかる!」
「それに昼食の時、気分だけは“凱旋”だったもんね」

勝っても負けても、子供心に一仕事終えた気分だった。

「そうそう、だからこそお弁当が格別においしかったのよね!」
「・・・俵型」
「ん?なに・・・たわら?」

最近あまり見掛けなくなった俵型のおにぎりを思い出した。

「ほら、おにぎりって三角じゃない?」

コンビニを見てもほぼ三角のおにぎりだ。
俵型はあまり見掛けない。

「私のうちは、いつも俵型だった・・・今思えば」
「うちは三角だったような気がする」

運動会だけではなく、行楽時のおにぎりはいつも俵型だった。
今になって気になり始めた。

「別に味が違うわけでもないし、単にその家系の伝統じゃないの?」
「そうなのかなぁ~」
「そうよ、考えすぎ!それより、私たちもお昼にしない?」

あれこれ話しているうちに、目的地に着いた。

「そうね、それにしても今日は気持ちいい秋晴れね」

お互い持ち寄ったお弁当を広げる。
友人のおにぎりは三角で、私のおにぎりは俵型だった。S486
(No.486完)
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[No.486-1]運動会と伝統

No.486-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
騒がしいはずなのに、なぜかそう感じない。
体がそれを懐かしんでいるせいだろうか?

「・・・運動会だよね、これって?」

歩くたびに、それが大きく聞こえてくる。

「・・・そう・・・みたいね、確かあったよね?」
「うん、あの角を曲がったら」

後、5分ほど歩けば、小学校が見えてくる。

「この曲・・・間違いないわね!」

運動会には定番のあの曲だ。
それに時より曲に混じってアナウンスが聞こえてくる。

「そんなシーズンだもんね」
「それに今日、日曜日だし」

そうこう話している内に、小学校の校庭が見えてきた。

「わぁ~、懐かしいね」
「ほんと、今でも玉ころがしやってるんだぁ!」
「違うわよ、私が言いたいのはアレよ、アレ!」

レジャーシートが至るところに広げられている。
もちろん、シートだけではなく、ちゃんと主が座っている。

「競技中に、チラチラ見たりしなかった?」
「した!した!」

見に来てくれて嬉しいはずなのに、どこかよそよそしくもあった。

(No.486-2へ続く)

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ホタル通信 No.182

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.115 季節の足音
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

時期を選んだ訳ではないのですが、丁度、今の季節と重なる話です

この話の舞台としては、一応公園を想定していますが、特に拘りはありません。それもあり、小説中には場所がどこであるかを書いていません。読み進めていただき、何となく皆さんが感じた“場所”が舞台で結構です。
ただ、きっかけは公園ではなく、自転車置き場でした。小説の冒頭の通り、前日風が強かったせいで、落ち葉が至る所に散らばっていました。そんなワンシーンから小説が誕生しました。

とは言うものの、冒頭以外はほぼ創作です。
ありそうでなさそうな・・・いかにも“作った”感がある仕上がりです。ドラマとかにもで出てきそうなワンシーンのような気もします
さて、冬のホタルでは季節をテーマにした作品も多くあります。
更にその季節の真っ最中ではなく、季節の変わり目がテーマになることが多いと自己分析しています。
この作品は秋から冬の移り変わりをテーマにしており、単に落ち葉ではなく“落ち葉を踏む音”でその移り変わりを感じるという話の流れです。

季節の移り変わりを視覚や聴覚、はたまた味覚など、五感をフル活用して感じています。
ただ、小説上、視覚や気温の変化を感じる触覚は表現としては少しストレート過ぎるので、あえて季節を音で感じさせるような仕上がりにしています

四季は変わらず訪れるけど、その時々に想っていることはいつも違います。だから、細々とではありますが、こうして書き続けられるのかもしれません。
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[No.485-2]空の彼方へ

No.485-2

「・・・ちょっとぉ?ねぇ、聞いてる?」

(・・・ん?)

「ねぇったら!」

気付けば友人が怪訝そうな顔をしている。

「ご、ごめん!・・・なに?」
「なにじゃないわよ!」

どうやら、友人以上に見上げることに夢中になっていたようだ。

「ごめ~ん!なんだかいい気分になっちゃって」

秋を感じさせるポカポカ陽気が一層そうさせた。
それにある意味、無心になれる瞬間でもあった。

「ありがとうね、誘ってくれて」
「でも、札幌からわざわざ来るとは思ってもみなかったけど?」
「どうせ、今のわたしは“暇人”ですからね!」

理由を知っていたからこそ誘った。

「でも、来年は誘わないからね」
「はいはい・・・わたしも誘われないようにするよ」

憎まれ口もお互い手馴れたものだった。

「来年は誘わないから、勝手に来れば?」
「・・・そうね、そうするわ」
「今度は上から夜景でも見たら?もちろん二人でね」
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(No.485完)
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[No.485-1]空の彼方へ

No.485-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ちょ、ちょっと!恥ずかしいじゃない・・・」

友人が思いっきり、それを見上げ始めた。

「なに言ってんのよ!そのつもりで連れてきたくせに」
「それはそうなんだけど・・・」

友人に限らず、周囲にはそんな人がチラホラいる。

「ほら・・・少しは遠慮しながら・・・」

明らかに“おのぼりさん”に見える。
この私までが・・・。

「意外と体裁を気にするのね?」

友人は大阪人以上に大阪らしい性格だ。

「ん?なんか言った?」
「えっ!?な、なんでもないよ」

口にしないまでも、雰囲気が伝わってしまったようだ。

「それにしても高いわね~」

秋晴れの空に、今日は一段と高く感じる。
友人の無邪気な行動に、私もあらためてそれを見上げた。
もう、何度も見上げてはいるけれど。

「・・・なんかいいね」

歩道橋の上で、ぼんやりそれを見上げている。
不思議と雑踏が耳に入ってこない。
まるで時間が止まったかのようだった。

(No.485-2へ続く)

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[No.484-2]みがわり

No.484-2

「最近、仕事がつらくて・・・」

少なくとも、忙しいからつらいのではない。

「そうなんや」
「せやかて、それがなんでせいじゅうろうと関係するん?」
「せいじゅうろうが・・・ね」

ここからは他人に聞かせられない内容だ。
間違いなく誤解されるからだ。

「せいじゅうろうを見てたら、声が聞こえたような気がして・・・」

それは数日前にせいじゅうろうを手にした時だった。

「あくまでも気がしただけ」
「それで、せいじゅうろうはなんてゆうてはったん?」
「一緒に出掛けよう!って」

時を同じくして、菜緒(なお)から、連絡が入った。
買い物に付き合って欲しいから、一緒に出掛けようと。

「偶然なんだけど、びっくりした」

そこに神秘的な力が働いたとは思っていない。
けど、それがせいじゅうろうを連れ出すきっかけにはなった。

「うちとせいじゅうろうは一心同体やもんな」

菜緒からもらったせいじゅうろう。
それは今でも彼女そのものだった。

(No.484完)
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[No.484-1]みがわり

No.484-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
久しぶりにせいじゅうろうを外に連れ出した。

持っているスマホにはせいじゅうろうを付けられない。
だから、スマホに替えてから、外に連れ出す機会が減った。

「あれ?珍しいやん」
「たまには連れて歩かないとね」

まれにある出張には連れて歩いていた。
言わばせいじゅうろうは、菜緒(なお)の代わりでもあったからだ。

「久しぶりだよな、三人でこうやって歩くのは」
「せやね!」

他人が聞けば、時期外れのホラー話に聞こえるだろう。
三人目は一体、誰なんだと・・・。

「なんかあったん?」
「・・・どうして?」

さも何もないように答えたつもりだった。
けど、心中は穏やかではなかった。

「そんな気がするだけ」

女の勘は鋭い。
それを身をもって体験した気分だった。

「実は・・・」

隠すようなことでもないけど、話すようなことでもない。

(No.484-2へ続く)

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ホタル通信 No.181

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.107 四葉のクローバー
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

この話はふたつの出来事をひとつにまとめたようになっています。冬のホタルでは時々、このような手法を使います。

まずひとつめです
四葉のクローバーのしおり、手作りしたようになっていますが事実は“四葉のクローバーが描かれたしおり”でした。簡単にいえば、四葉のクローバーは単なるイラストに過ぎません。
ただ、これだと話を膨らませ難いので、あえて手作りとすることで、作った人とからませることができると考えました。

ふたつめです
何かに頼りたい気持ち、大袈裟に言えば“神様仏様”でありやや意味は違いますが、験(げん)を担ぎたかったからと言いますか・・・早い話、お守り的な存在が欲しかったのです。
当時の気持ちを正確には覚えていませんが、恐らく、何らかの不安感があったように記憶しています。
冬のホタルって、自分を含めて結構、暗い話が多くあります。
でも、それを包み隠さず書くのも当ブログの特徴です。

・・・で、このふたつから誕生したのがこの話です
四葉のクローバーをお守り的な存在として、話を展開させています。実話度が低いのは内容そのものは全て創作だからです。
ところで話は変わりますが、後半に書いてある四葉のクローバーの生まれ方は事実らしいです。小説を書くにあたって、四葉のクローバーのことをネットで調べていたら、そんなことが書いてありました。
それがとても印象的であったため、私の“想い”とは裏腹に登場人物たちは自分たちで何か答えを見つけたようです。
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