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[No.481-2]電話の向こうで

No.481-2

「1ヵ月くらい前、事務所に来たでしょ?」
「・・・あっ!そうですね」

すっかり忘れていた。
確かに彼女が働く事務所に立ち寄ったことがあった。
そこで初めて彼女を見た。
ただ、彼女に用があったわけじゃない。

「・・・それだけよ」
「他に用件がなければ切りますが?」
「す、すみません・・」

なぜか謝ってしまった。

(なんで俺が謝るわけ??)

話を続けようとしたのは彼女の方だ。

「この前はご挨拶せず、すみません」

(なに言ってるんだ、俺?)

「別にいいわよ、みんなそんな感じだから」

幸い俺だけに不愛想なわけじゃない。
誰に対してもそうだ・・・たとえそれが偉い人であってもだ。

「いや、そんなつもりじゃ・・・」

初めて彼女を見た時、想像していたそれと違った。
もちろん、良い意味でだ。

「・・・で、もう切ってもいいですか?」
「あっ、長々とすみません」

また、謝ってしまった。

「プッ・・・」

今、彼女が笑ったように聞こえた。

相変わらず彼女の不愛想は変わらない。 
それは僕に対しても同じだ。
ただ、あの日以来、何かが違う気がしている。
電話の向こうは見えないけれど。
S481
(No.481完)
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