[No.481-1]電話の向こうで
No.481-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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(参ったな・・・)
電話を掛けなければならない相手がいる。
けど、ちょっと苦手な相手だった。
(しないわけにはいかないし・・・)
今の時代、メールで済ませることも可能だ。
(仕方ないかぁ・・・)
メールでは伝わらない複雑な案件だったからだ。
いつも通り、受話器から聞こえる呼び出し音が緊張感を高める。
「・・・はい」
(うっ!・・・相変わらず無愛想だな)
心には思っても、決して口にしてはならない。
「・・・」
「あの、ですね・・・」
言葉使いが悪いとか暴言を吐くとか、そんなことは一切ない。
とにかく、不愛想極まりない。
電話だから、余計にそれを感じる。
「・・・はい・・・ええ・・・」
一応、相づちは打ってくれる。
「・・・ということで、よろしくお願いします」
何とか用件を言い終えた。
(ふぅ~・・・)
これで、ようやく電話を切ることができる。
「それでは、失・・・」
「この前、来てたでしょ?」
「えっ!?」
思わぬ問い掛けに、言葉を失った。
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