[No.480-2]望遠鏡
No.480-2
「え・・・ええっっ!?」
思わず声が出た。
「やろ!」
待ってました、と言わんばかりの奈央(なお)の反応だった。
「こんなに見えるの!?」
雑誌の付録とあなどるなかれ・・・の性能だった。
月のクレーターが小さいながら確認できる。
「うちも、ビックリしてん」
「だから、呼んだの?」
呼び出された理由がようやくわかった。
(・・・こういうことだったんだ)
それから、ふたりで代わる代わる月を見た。
「はよ、代わって!」
「もう少しいいだろ?」
望遠鏡の奪い合いが始まった。
・・・というより、じゃれあっているのに近い。
「じゃ、半分づつ」
「それは無理だろ?」
「いいから、こっち来てん!」
頬と頬がくっ付く。
もう、月どころではなくなった。
(No.480完)
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