[No.478-1]背を向けるわけ
No.478-1
登場人物
女性=牽引役
男性=相手
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「本当にそんな日が来ちゃったね」
改札を抜ければ、もう二度と彼と逢うことはないだろう。
「ねぇ、覚えてる?」
「もちろんだよ」
あの日の会話が今、目の前で繰り広げられようとしている。![]()
「・・・そりゃ、後ろ向きなら歩きにくいだろ?」
「全然、色気のない答えね!」
別れのシーンの表現には、よく“背中”が出てくる。
背を向ける、背中を見送る・・・。
さっき見た映画にもそんなシーンがあった。
「せめて『泣き顔を見せたくないから』って思わない?」
泣き顔を見せたくないから背を向ける。
「それに・・・これから前を向いて歩くために背を向けるの!」
「それなら、俺の答えと同じだろ?」
「違うわよ!あなたのは・・・」
彼が言う“前”は、単なる方向だ。
私が言う“前”は、前向きな心のことを言っている。
「まぁいいわ、そうならないようにしなくちゃね!私たちは」
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