[No.477-2]罵声
No.477-2
「転倒!・・・はないか、1位だったもんね」
「・・・まさか相手が転倒?」
確かにそれなら、さえない返事になるだろう。
相手に勝ちを譲ってもらったとも言えるからだ。
「いいや・・・二人とも転倒せずにゴールしたんだけど」
最終コーナーで相手を抜くことができた。
その時、大歓声の中で、あるセリフが聞こえてきた。
「『なにぃ!!あの男ぉぉ!!!』だって」
まるで静寂の中で聞いているかのように、はっきり聞こえた。
「女子?」
「あぁ、抜いた相手が、野球部のスターでさ・・・」
実力もさることながら・・・。
「・・・加えて、イケメンというわけね」
あのセリフは悲鳴というより、僕には罵声として聞こえた。
「あの時は、ちょっとヘコんだな」
女子全員を敵に回したような気分でもあった。
「そうね・・・私がそこにいても罵声を浴びせていたかも」
「・・・だよな」
「『前を走る男!道を開けなさい!』ってね」
(No.477完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(020)小説No.476~500」カテゴリの記事
- [No.500-2]待つ気持ち(2013.12.08)
- [No.500-1]待つ気持ち(2013.12.06)
- [No.499-2]空き箱(2013.12.04)
- [No.499-1]空き箱(2013.12.03)
- [No.498-2]つなぐ(2013.12.01)
コメント