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[No.476-1]気付かない

No.476-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「えっ!」

思わず驚きの声をあげた。

「・・・ない」

本来そこにあるべきものがなくなっていた。

「それなら、随分前に無くなったわよ」
「全然知らなかった・・・」

知らなかったと言うより、気付かなかった。
平日は毎日その道を通っていたはずなのに。

「小さな居酒屋だったからね」

居酒屋と言っても地元の個人経営の店だ。
悪く言えばプレハブ小屋のような店構えだった。

「でも、お客さんは多かったよね」
「そうね、入ったことはないけど」

いつも人で溢れていた印象がある。

「取り壊すなら、半日もあれば十分じゃない?」

確かにそうだろう。
重機を使えば、それこそ数時間も掛けずに更地に出来そうだ。

「でも、今更なんで気付いたの?」
「昨日、店があった前でね、おじさんが缶ビールを飲んでたの」

その時、ハッと気付いた。
缶ビールが居酒屋を連想させてくれたからだ。

(No.476-2へ続く)

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