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[No.475-1]食堂の匂い

No.475-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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匂いの元は、その時々で違うとは思う。
けど、それらをひとくくりにして“食堂の匂い”と表現している。

「匂いの想い出ってこと?」
「うんん・・・微妙に違う」

確かに視覚でも聴覚でもなく、臭覚には間違いない。
ただ、匂いそのものの想い出ではない。

「その匂いを嗅いだら想い出すの」

中学生になる前まで、よく訪れていた親戚がいた。

「その家の匂い?」
「・・・じゃなくて、最寄の駅に降り立った時の匂い」

最寄の駅に降り立つと、いつも油っぽいような匂いがした。
すぐそばに商店街があったからだと思う。

「決して嫌な匂いじゃないけど・・・なんていうか・・・」
「今、しているこの匂いのことでしょ?」
「そっ、そぉぅ!」

表現し難い匂いだけに、思わず声が裏返ってしまった。

「でも、なんで分かったの?」
「・・・と言うより、想い出したから口にしたんでしょ?」

見事に当たっている。

(No.475-2へ続く)

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