[No.472-2]カモとハト
No.472-2
「羨ましい?」
「うん、ちょっと・・・な」
彼女はそこに何を重ね合わせているのだろう・・・。
僕が言った通り、恋人かもしれないし、違うかもしれない。
「ずっと、一緒に居れたらええな」
「そうだね」
その鳥のことのようでもあり、僕たちのことのようでもある。
そんなセリフとして聞こえた。
けど、僕は後者のつもりで答えた。
「ずっと、一緒に居られるさ!」
「せやな」
さっきと立場が逆転したような会話になった。
それでも本心は隠したままだった。
それは、彼女も同じかもしれない。
「うちは、ハトかもしれへんな」
「なんで?」
「群れてるようやけど、ひとりぼっちやから」
答えに困る。
言っている意味が分かるからだ。
「けど、その群れの中で心配そうに見つめているやつもいるよ」
「・・・それなら、嬉しいけどな」
どちらからともなく、手をつなぐ。
まるで、それが答えかのように。
(No.472完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(019)小説No.451~475」カテゴリの記事
- [No.475-2]食堂の匂い(2013.08.28)
- [No.475-1]食堂の匂い(2013.08.27)
- [No.474-2]迷子のコリラックマ(2013.08.25)
- [No.474-1]迷子のコリラックマ(2013.08.23)
- [No.473-2]私でした(2013.08.20)
コメント