[No.471-1]どかん
No.471-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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通称“どかん(土管)”
少なくとも私たちはそう呼んでいた。
「結局、どこに続いてたんだろう・・・」
卒業以来、十数年ぶりで小学校の同窓会が開かれた。
再開を懐かしむ声も、すぐに“どかん”へ話が移った。
「そうね、分からずじまいだったね」
学校の近くに小川が流れていた。
小川は裏山のトンネルに吸い込まれるように繋がっていた。
そのトンネルを“どかん”と呼んでいた。
なぜそう呼んでいたかは定かではない。
「だって、真っ暗なんだもん・・・当たり前だけど」
「だよね・・・」
当時の私たちなら、立ったまま余裕で通れる大きさだった。
男子に混じって、私たちも何度か中に入った。
とは言え、数メートルも進めなかった。
「それに・・・覚えてる?」
「・・・今で言う、都市伝説ね」
中に滝つぼがあるとか、巨大な魚が居るとか居ないとか・・・。
今思えば、単なるうわさだったかもしれない。
私たちを中に入れないための・・・。
「確かに、そのうわさがあったから・・・」
「奥まで行く人は誰も居なかったよね」
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