[No.469-2]雨女の真実
No.469-2
「タイミング・・・がね、どうしても・・・ね」
偶然がこうも続けば、偶然では済まなくなる。
「考えすぎよ」
「あなたと同じ時間に家を出る人・・・世の中にいっぱいいるよ?」
「例えば、わたしとか」
そう言えばそうだ。
平日の朝に限ってはそういうことになる。
「・・・雨女だったの?」
「実は・・・そうなんだ・・・って、違う違う!」
「あくまでも一例よ、い・ち・れ・い」
世の中の誰かが雨女で、その人と動きが重なっている。
ただそれだけのことかもしれない。
「でも、それも違うと思うんだ」
「雨女なんていないよ!もちろん、雨男も・・・ね」
「・・・偶然で片付けるの?」
「そうね、簡単に言えばそういうことになる」
それでは結論に至らない。
偶然が何度も続いている事実をどう説明すれば良いのか?
「じゃ聞くけど、家を出た瞬間に降ってきたこと、ある?」
「・・・そうね、それはない」
「でも、いつも数分後には降り出して来てる」
さすがに家を出た瞬間はない。
早くても数分後だ。
「自転車でしょ?それだけの時間があれば十分よ」
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