[No.466-2]鼻をすする
No.466-2
(・・・ん?)
すぐそばで、鼻をすする音が断続的に聞こえてきた。
・・・というより、彼女が鼻をすすっている。
(今回は・・・かぜ・・・だよな?)
映画を見ているわけでもなく、ただこうして歩いているだけだ。
「・・・かぜとか鼻炎とか・・・かな?」
なぜだか恐る恐る聞いている自分がいる。
「・・・どうして?」
「いや、その・・・ほら、前にもあっただろ?」
数日前のソファー越しの話をした。
「確かにそんなこと、あったわね」
「それに・・・」
夏とは言え、今夜は少々冷え込んでいる。
その影響も考えた上での発言だった。
「へぇ~、気を使ってるじゃない、今夜は」
「そう、からかうなよ」
「冗談よ、それにかぜでも鼻炎でもないよ」
「・・・じゃあ、何だよ?」
これには答えず、左手をスッと僕の前に突き出した。
「さっきの余韻で・・・ちょっと、ホロッと来ただけよ」
(No.466完)
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